カメラ演出の基本②~カメラワークと基本ルール~

Layout、Animation講座の第八回目として、今回は「カメラワーク」とカメラ演出における「基本的なルール」について触れていこうと思います!

~カメラワーク~

代表的なカメラワーク

代表的なカメラワークを説明する前に一番重要なことをお伝えします。
小説家が文字を通して、音楽家が音を通して伝えたいことを伝えるように、監督や演出家は”カメラ(レンズ)”を通して視聴者に伝えたいことを伝えるということです。

そしてカメラは視聴者の目でもあります。

世の中には様々なカメラワークや撮影技法はありますが、基本的にその根本には「伝えたいもの」があり、それを伝える手段としてのカメラワークがあるということを忘れないで下さい!!

FIXカメラ

一番多いカメラのパターンで、単純な止めのショットです。
カメラは動かしません。

FIX

FOLLOW(フォロー)

「FOLLOW」は非常によく使用されるカメラワークで、被写体を追うようにカメラを動かします。
カメラに収まる演技や情報だけだと時に窮屈に感じることがあります。
カメラ外にも世界が存在し、カメラありきのカットにしないためにも被写体が大きく動き、それにカメラが追従(FOLLOW)する演出は非常に多く存在します。

CRANE(クレーン)、TILT(ティルト)

CRANE UP(クレーンアップ)、CRANE DOWN(クレーンダウン)はカメラ自体を縦方向へ動かす撮影方法です。

物語の導入部分や、場面転換などに使用されることが多いです。
TILTと違いカメラに近い被写体の画面上の動き幅が大きくなるため、大きく動かさなくとも、その特性から高揚感や希望といった感情表現に利用することもできます。

CRANE UP

TILT UP(ティルトアップ)、TILT DOWN(ティルトダウン)はカメラを縦方向へ回転させる撮影方法です。

何かを見上げる場面などで使用されることが多いです。
重要な人物の初登場シーンで足元から映してTILT UPで顔まで映して止める、なんていう使い方もあります。
CRANEと違いカメラに映る被写体の動き幅は均等になります。

TILT UP

TRACK(トラック)、PAN(パン)

TRACK(トラック)はカメラ自体を横方向へ動かす撮影方法です。(CRANEの横版)
カメラに近い被写体の画面上の動き幅が大きくなるため、↓の動画のように急に目の前に被写体を出現させたい場合に用いることもできます。

TRACK

PAN(パン)はカメラ自体を横方向へ動かす撮影方法です。(TILTの横版)
カメラに映る被写体の動き幅は均等になります。
視聴者に目線の移動や、見て欲しい被写体がある場合などによく用いられます。
カメラを素早く振る動きを特に「QuickPAN(クイックパン)」と呼んだりします。

※2Dの現場ではTrack(トラック)もPAN(パン)も同様にPANと言われり、クレーンアップ、クレーンダウンもPANUP(パンアップ)、PANDOWN(パンダウン)と言われたりします。

PAN

DOLLY(ドリー)、ZOOM(ズーム)

撮影技法的には被写体にズームで寄るのを「ズームイン」、逆にズームで被写体から引くのを「ズームアウト」と言います。

ZOOM IN

レンズはそのままで、カメラ自体を被写体に近づける方法を「ドリーイン」、逆にカメラ自体を引く方法を「ドリーアウト」と言います。

DOLLY IN

ドリーとズームの違いと使い分け

では「ドリー」と「ズーム」でどういった違いがあるのでしょうか。
まずは見た目的な説明からしていきます。

上記の2つの動画のズームインの方をまずは見てください。
背景と人物が均等に拡大されていると思います。
これがズームの特徴です。

単純に被写体に注目して欲しい時に用いられることが多いです。
また、DOLLYほど明確にカメラを動かしたくない場面で用いられることもあります。
例えば、2人の人物が会話をときの後ろで何か異変が起きた場合など、登場人物達は気づいてないけど、視聴者にはそれが見えている時などに”ZOOM”として用いられる場合があります。

ZOOM

ではドリーインの方はどうでしょうか。
人物の拡大幅に比べて背景はほとんど変わらないと思います。
これがドリーの特徴です。

主に人物や物そのものにフォーカスしたい場面で使用することが多いです。
例えば被写体(人物)が重要な話や過去の悲しい出来事などを話しているとします。
現実の世界でも目の前にいる人からおもしろい話を聞いている時や、真剣に話を聞いている時に体が前のめりになっている時があると思いますが「ドリー」はまさにそのイメージです。


カメラ演出の基本①で”レンズの違いによる印象の違い”についても説明しましたので、前回の内容覚えてない人は↓の記事でおさらいしてみてください。

~イマジナリーライン~

カメラの原則のルールのひとつ、「イマジナリーライン」について説明していきます。

まずは下記を見てください。こちらはバストアップショットの一般的な会話シーンの簡単な再現です。

俯瞰で見たカメラの位置関係は↓のようになります。

次に下記を見てください。こちらは先程と違い2カット目のカメラの位置を変更しています。

いかがでしょう、会話シーンというより別々の人物にインタビューをしているような印象ではないでしょうか。

俯瞰で見たカメラの位置関係は↓のようになります。

これはイマジナリーラインを越えてカメラを配置してしまったために起こった現象です。

イマジナリーラインとは、被写体から前後に真っすぐ伸ばした仮想のラインのことで、このラインを跨いでカットチェンジを行ってしまうと、上記のように被写体の位置関係が混乱し視聴者にわかりずらい映像になってしまいます。

原則イマジナリーラインは超えてはいけないものですが、カメラワーク次第ではイマジナリーラインを越えた演出も可能です。

例えば下記のようにカットをせずにカメラが被写体の前を回り込むようにすれば、視聴者に混乱を与えずにイマジナリーラインを越えることはできます。(演出的に回り込みが必要なのかどうかは置いておいて)

イマジナリーラインを越えたカメラワーク

まとめ

基本的なカメラワークや利用方法などを説明してきましたが、この他にもカメラを利用した感情表現や様々な演出は多く存在します。


現在数多くの映画や映像作品がありますが、それら一つ一つが演出の教科書でもあります。
カメラワークや演出を学びたい人はたくさんの映像作品を見るようにしてください。
そしてただ観るだけでなく、”このカットのレイアウトはどういった演出意図があるのか”という点に注目してみると新たな発見があると思います!

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