3Dアニメーターの仕事内容は大きく分けると2つ
※あくまで筆者が仕事を通して感じたことですので、会社や環境によって内容は違っていることもあると思います。参考程度に読んで頂ければ幸いです。
インゲームモーションとカットシーン制作
3Dアニメーターの仕事の種類として、「インゲームモーション制作」と「カットシーン制作」の2つに大別できるかと思います。
カットシーン制作
「カットシーン制作」はテレビ、映画、CM等の映像作品を制作する仕事です。
カットシーン制作におけるアニメーターの役割としては主に「レイアウトの作成」と「アニメーションの作成」の2つの工程があります。
レイアウト作業とは
絵コンテからアニメーションの叩き台となる映像を興す作業です。
静止画であるコンテから初めて映像という3動画を作成する作業ですので、コンテから演出意図を読み取ったり、カメラワークの知識などが必要になってきます。
レイアウトの段階ではキャラクターアニメーションは詰めません。演技内容がわかるくらいの最小限の動きに対して、カメラワークを作成します。
カメラワークについてはアニメーションクオリティでしっかりとしたものを作成します。
アニメーション作業とは
レイアウトで作成したカメラワークを元に、キャラクター等の画面内の動きの要素を作成します。
ゲームモーションとの最大の違いが、ゲームモーションは360°どの方向から見ても成立する動きを作成するのに対して、映像のアニメーションはカメラから見て最適なアニメーションを作成するということです。※場合によっては仮のエフェクトや簡単なコンポジット作業をすることもあります。
カメラから見て如何に効果的な絵作りが出来るかが重要なので、極端な話カメラから見えてない部分(バストショットであれば腰や足など)は動かさないことが多いです。
概況
他セクションとのコミュニケーションももちろん大事ですが、ワークフローが固まっていることが多いので、自分の担当カットを黙々と作業することが多いです。
様々な種類の作品に関わっていくことになりますので、アニメーションの技術ももちろんのこと、日頃から様々なことに関心をもって、情報収集や人の動きや事象などを観察する癖をつけておくといいかもしれません。
映画作品などは自分の作ったカットがスクリーンに映し出されたり、クレジットに名前が載ったりといった喜びもあるでしょう。
大変なこともありますがその分作りきった時の達成感も大きいので、最後までやり抜く意志がある方は是非チャレンジしてみてください。
制作期間はゲーム開発に比べて短めな印象です。
インゲームモーション制作
「インゲームモーション制作」とはゲーム開発の”動きの部分”キャラクターモーションの作成をする仕事です。ex.キャラクターの攻撃モーション、歩き走りモーションなど。
UnrealEngineやUnityでのモーション設定、検証なども行うことがあります。
「アニメーション」項で説明しましたように360°どの方向から見ても成立する動きを作成します。
ワークフローが開発環境によって変わってきますので、個人的な経験談として映像制作に比べてアニメーション以外のセクションとのコミュニケーションが多い印象です。ディレクターやプログラマーと話し合いながら”ゲーム開発のモーション部分”を担当するイメージです。
概況
基本的にアニメーターに限らず、ゲーム会社はゲームが好きな人が集まっています。自分が作った作品!というよりも、みんなで1つのゲームを作り上げていくイメージかなと思います。
アニメーションの技術ももちろん大事ですが、他セクションとのやり取りが多いので、コミュニケーション能力がとても重要です。
制作期間は映像制作に比べて長めな印象です。
インゲームアニメーターにカメラの知識は必要ない?
ゲーム業界、ゲームモーション希望のアニメーターであっても、キャラクターの「必殺技演出」や「勝利演出」ちょっとした「シナリオムービーパート」などは社内のアニメーターで対応する場合もあります。
そんなときにカメラや、レイアウトの知識が必要になってきます。
(インゲームモーションのみをやってきたアニメーターだとプロでもカメラワークができない人もいます)
ですので、ゲームモーションをやりたい学生であってもコンテの読み方やカメラワークの知識を学ぶということは大切だと思います。
ゲーム会社のカットシーン制作
他にも「ゲーム内のカットシーン制作」というものもあります。
MAYAで作成したカメラやアニメーションをエクスポートして、UnrealEngineやUnityなどのゲームエンジン内に組み込み、リアルタイムで再生というのが基本的な作成方法です。
昨今の大規模なゲーム開発においてゲーム内ムービーの重要性は大きく、演出やクオリティも映画さながらのものも多くなっています。
どちらを選ぶべき?
これから「アニメーターになりたい!」と思っていてゲーム会社に就職するか映像会社に就職するか迷っている方がいたら、まずはCGを始めた根本を考えてみると良いかもしれません。
インゲームアニメーターになったからといってカットシーンアニメーターに転向できないわけでもないですし、フリーランスで活動しているアニメーターはどちらの仕事も請けている方も多いと思います。
ですので、まずは自分の一番好きだと思った作品(宮崎駿監督の映画を観て感動したとか、FFみたいなゲームを作りたいetc…)の業界を目指してみるのもいいかなと思います。